本研究の目的は、脊髄損傷者の温熱負荷時の心機能を評価し、健常者と比較検討することである。頸髄損傷者群、胸腰髄損傷者群と健常者群の三群を対象として、両下肢または全身を加温することで深部体温を上昇させ、安静時と体温上昇後に心機能などを評価した。今回の研究において、体温上昇時の心拡張能は、健常群、胸腰損群、頸損群のいずれも保たれていた。一方で、左房、左室収縮能は健常群では増加したが、頸損群では変化しなかった。また、胸腰損群では増加したが健常群よりは減弱していた。これらの結果から、心交感神経活動は温熱負荷時の心収縮能に寄与しているが、心拡張能には寄与していない可能性が示唆された。
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