この研究は学際的な視野からアメリカ文化を論じるものであり、特にこれまで十分な学術的な関心が払われてこなかった保守派の音楽と政治との関連性に焦点を当てたこと、カントリー音楽を1960年代以降の保守化という変容の相において捉え歴史的に位置づけていること、音楽を歴史を彩る付随物あるいは社会を映す鏡として二次的に扱うのではなく、積極的に文化形成を担う様相を示したこと、トランスナショナルな視点を取り入れ国際的な学術貢献をしていることを特徴としている。さらに、本研究の扱ったアメリカ社会の変容は現在に直接影響しており、その様相を解明したことは現在のアメリカ社会の歴史的理解につながる実利的な意義がある。
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