研究課題/領域番号 |
15K16601
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研究機関 | 高知工業高等専門学校 |
研究代表者 |
北山 めぐみ 高知工業高等専門学校, 環境都市デザイン工学科, 助教 (40734257)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 登録有形文化財 / 住宅 / 高知県東海岸 / 活用 / 町並み / 空き家 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、高知県東海岸沿いに位置する登録有形文化財建造物(以下、登録文化財)の概況を把握した上で、事例調査として奈半利町を対象に、目視調査・ヒアリング調査を行い、登録文化財の現在の利用状況を把握した。 まず東海岸沿いのエリアにおける概況把握では、登録文化財リストを作成し位置を特定した上で現地確認を行い、今後の調査項目の精査を行った。次に現地・ヒアリング調査を行った奈半利町は、まちづくりの視点で登録文化財制度を活用し、町内の一定のエリア内に39件の登録文化財が集積していることで知られる地域である。町内の登録文化財には、住宅として利用されているものの他に、店舗として活用されているもの、空き家となっているもの、事情により取り壊されたものがあり、空き家に関しては所有者へのアプローチができない状況にあり管理が困難な状況にある。また、登録文化財の中には老朽化が著しいものも複数あり、管理状況の把握が急がれることから、更なる詳細な調査を行う予定である。また、当該地域では、登録文化財を活用したまちづくりを実践する住民団体「なはり浦の会」による活動が活発であり、登録文化財を活用したイベントの企画や町並みガイドを行っている。当団体は、地域住民のみならず、地域外の人もメンバーとして参加していること、また、若手から年配まで年齢層の幅が広く、東海岸沿いの住民団体との連携を行う上でも中心的な役割を担っている。以上から、今年度は詳細調査に向けた調査項目を精査し、奈半利町を事例として現況把握を行い、本研究を進める上での基礎的知見を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
住民団体・県文化財課の協力を得て現地調査・資料収集を進めているところであり、おおむね順調に進展していると考えられる。特に、これまで散逸していた申請時の書類を整理しデータベース化する作業を実施中であり、これは研究資料としてのみならず、今後の登録文化財の維持管理を進めていくうえでも有用なデータとなるため、良好な協力を得られている。また、住民団体へのヒアリング調査、並びに使用状況調査については1地域のみにしか実施できていない状況であるが、上記のデータベースを完成した上で実施した方が効率できてあり、全体の計画として遅れていると判断する必要はないと考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、県文化財課の協力を得て、登録文化財の申請時の資料を収集し申請・登録前後の経緯を把握とともに、申請時資料と現在との比較を行い、現状変更等の有無、並びに使用状況の変化をまとめる。また、使われ方調査として、日常時・祭礼時・イベント時のりよう実態を明らかにする。特に、高知県東海岸沿いでは、複数の地域が連携したおひなさま等のイベントが実施されており、通常は住宅利用の建物が公開されている事例も見られる。こうした登録文化財に着目した連携事業の効果・課題を検証し、住宅利用による登録文化財の活用に向けた知見を得る。なお、これらの資料は、今後の登録文化財の維持管理を行う上でも有用となる基礎資料となることを目指している。
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次年度使用額が生じた理由 |
資料収集等の基礎的調査に時間がかかり想定よりも現地調査が少なくなったため残金が発生した。ただし、資料収集は良好に進んでおり、次年度の現地調査の精度が向上すると考えられるため、十分に研究を遂行できるものである。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度は、登録文化財登録時の資料をもとに現地調査を実施し、使用状況、現状変更の有無等について詳細な調査を行う。このため、研究補助を行う学生や研究協力者の旅費として計上する予定である。
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