研究課題/領域番号 |
15K16660
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 基金 |
研究分野 |
芸術一般
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
井戸 美里 京都工芸繊維大学, デザイン・建築学系, 講師 (90704510)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 屏風 / 和歌 / やまと絵 / 屏風歌 / 名所 / 庭園 |
研究成果の概要 |
「唐絵」の概念として成立した「やまと絵」について、遺品の多く残る室町時代の屏風絵を中心にその受容者や受容の場について研究を行ってきた。本研究では文学作品や同時代史料を参照しながら屏風絵の受容された場について考察を行い、①平安時代以来、和歌に取材する歌枕や景物を描くやまと絵の特質は室町時代においても継承されていること、②それらの屏風絵の主題は、宮廷を中心に歌枕のイメージが固定化していく過程のなかで制作されていった可能性があったこと、③屏風絵に組み込まれた和歌のテクストは、それらの屏風が受容された空間において読み解かれ新たな和歌を生む可能性もあったこと、を明らかにした。
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自由記述の分野 |
人文学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
水墨画が興盛していた室町時代において、やまと絵屏風の遺品が少なからず見出されその重要性が指摘されて久しいが、これまでの研究は筆者や様式などを考察するものが多く、その機能や受容の場をめぐっては不明な点が多かった。本研究の意義は、そのような室町時代以降の屏風絵の主題の背景に和歌のテクストが介在していたこと、特に、公家や武家、僧侶らによって繰り返し詠まれ共有されてきた歌枕のイメージの蓄積があったことを指摘した。実景表現とは異なる、過去から継承されてきた和歌のテクストの蓄積を表象するスクリーンとして、さらにそこから新たな言葉の世界を導くというやまと絵屏風の機能の一面を示すことができたと考える。
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