実施期間を延長させていただいた平成30年度は、研究活動の中心は引き続き『鳳城聯句集』訓注稿の作成と雑誌掲載に向けて点検精査であった。 その成果として、まず「『鳳城聯句集』訓注稿(五)」を『京都大学国文学論叢』第41号に、「『鳳城聯句集』訓注稿(六)」を同誌第41号に掲載した。これを以て全三十作のうちの二十三作品までは公開済みで、残り七作品も原稿が整っており、平成31(令和1)年度中に掲載を完結する予定である。 また平成29年12月に京都大学国文学会で行った講演「和漢聯句の題材と連想―「述懐」を中心に―」を論文化し、平成30年6月に『国語国文』(第87巻第6号)に発表された。本稿は述懐という素材をめぐる和漢文学伝統の相違を踏まえ、和漢聯句にみえる表現と連想の拡大を考察した。その際、後陽成天皇聯句と和漢聯句の使用例が重要な証拠となっている。
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