本研究ではマーク・トウェインの主要作品において、登場人物である白人男性の感傷・共感がどのように機能するかについて、「境界線」をキーワードにしながら考察した。トウェイン小説の登場人物たちは、白人男性としての主体形成をする際、他者に共感することで、自分と他人を分別する境界線を乗り越えたり、引き直したりしている。従来の研究では感傷や共感を女性と結びつける傾向があるが、トウェイン作品において主要白人男性登場人物の主体形成に、人種、ジェンダーや階級上の他者への共感が大きく関わることを指摘し、本研究を遂行した。
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