研究課題/領域番号 |
15K16727
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
金 牡蘭 早稲田大学, グローバルエデュケーションセンター, 准教授 (90732941)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 朝鮮演劇 / 解放期 / 連続と断絶 |
研究実績の概要 |
本研究は、1940年代後半の朝鮮半島における演劇をめぐる言説が、独立以前に形成された朝鮮演劇のアイデンティティをどのように再構築してゆくのかを明らかにしようとする試みである。その第一段階として、2015年度には以下の三つの課題を中心に研究を進めてきた。 1)韓国および北朝鮮地域における各新聞・雑誌の演劇関連記事および書籍を発掘・調査・分析した。①韓国地域の文献については、韓国国立中央図書館や芸術資料院、近年の口述アーカイブの資料などを利用し、当時の文芸の状況を総合的に把握すると同時に、当時の新聞・雑誌などを綿密に調査することで、以前の資料集などに収められていない新たな資料の把握に努めた。②北朝鮮地域の資料については、主に韓国の北韓資料センター所蔵文献、アメリカの国立公文書館に所蔵されている朝鮮戦争期の鹵獲文書を調査し、関連資料の発掘と整理を試みた。 2)韓国および北朝鮮の国立劇場創設関連の資料および国立劇場創設後の演目を調査し、整理することで、今後本研究の視座から中心的に分析する意義のあると判断される事例を把握できるようにした。 3)戦後日本の演劇関連文献や学術研究の中で、朝鮮演劇関連のものを網羅的に収集し、「朝鮮演劇」が戦前の「大東亜演劇」とは別個の認識対象としてどのように現れてきたかを通じ的に把握する作業に努めた。とりわけ、朝鮮の演劇的な伝統や遺産に関する認識が、戦前の「大東亜演劇」構想下でのそれと比べてどのように変化しているかに注目しながら、作業を遂行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
韓国における数回のリサーチにより、1次資料の収集に努めてきたが、韓国の国立中央図書館や国会図書館における解放期の新聞・雑誌の所蔵状況が予想より悪く、入手できない資料が多いため。
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今後の研究の推進方策 |
原則として本年度までの作業を継続する予定である、ただし、本研究が朝鮮演劇のアイデンティティの再構築の中でも、演劇伝統に関する言説の変遷に注目しようとしたものであったことを想起し、限られた時間の中でより効率的に研究の本来の目的に見合った成果を出せる方法を考えてゆきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
韓国の国立中央図書館が提供するアメリカの国立公文書館の北朝鮮鹵獲文書の原文サービスが充実していたため、アメリカへのリサーチ出張が必要なくなったから。
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次年度使用額の使用計画 |
韓国でのリサーチ回数を増やせることで、使用する予定。
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