本研究は18世紀後半から20世紀初頭におけるインド西部の町ネットワークの長期変動を分析し、植民地化に伴う経済変化を考察した。マラーター同盟下での、プネーなどのインド西部内陸都市の台頭は沿岸部と内陸部の貿易を活発化し、これが町ネットワークの形成に大きく寄与した。このネットワークは1818年のマラーター同盟の滅亡という政治変化によって直ちに影響を受けることはなかったようであるが、19世紀後半の鉄道開通は大きな変化を与えた。しかし20世紀初頭には再び鉄道交易の拠点として内陸町・都市が再び台頭しており、マクロなレベルでのインド経済の植民地化に伴う変動を明らかにした。
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