学校という場では、教育行政庁の判断が優先されがちであり、子ども(学生、生徒)の信教の自由がいかにして保障されるかは、はたして問題である。日本の判例では、裁判所が行政裁量を審査する際、信教の自由をどう用いるかは不明で、複数の考慮要素の一つでしかないようにも見える。この点、カナダの判例では、信教の自由は行政裁量を枠づけるとされている。憲法上の価値と他の価値との調整をいかに行うべきかには議論あるとしても、憲法上の権利が行政裁量を制限することに異論はない。日加に違うところは多々あるが、およそ裁判所であればどんな審査においても憲法上の価値を実現する責務を負っているはずであり、それは日本にも当てはまる。
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