比較憲法学上のアプローチを捉えつつ、従来の日本憲法学によってそれほど研究の対象とされなかった帰化の憲法上の位置付けを検討した。国籍法律主義を大前提とする従来の判例・通説から離れる捉え方として、帰化は、その核心は立法者によっても侵されない憲法上の制度であると主張し、帰化の果たすべき機能を検証した。 一方、日本国家と密接な結びを有するようになった定住外国人が日本国籍へアクセスする権利を内実とする国籍離脱の自由(憲法22条2項)を新たな視座から捉えなおすことに成功した。その結果、帰化制度の設置(立法裁量)ないし帰化制度の運用(行政立法)はどの程度まで制約されるか、比較憲法学の観点から、明らかにした。
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