従来の憲法学は私人間効力論につき、いかなる説が妥当かという憲法解釈論の視点から検討することが多かったと思われる。それに対し本課題では、日本の裁判所が私人間効力論に関していかなる理由から間接効力説を採用するに至ったか、また、なぜドイツと日本では正面から私人間効力に関する判断を下した時期に差が生じたのか、という問題につき、狭義の憲法解釈論とは異なる視点から検討を行った。 これにより、日本における私人間効力論の今後の展開および社会的影響を予測し、そこに憲法をはじめとする学説がどのような関与をすべきか/すべきでないのか、について考える手がかりを得ることができたと思われる。
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