本研究は、労働契約関係における、あるいは、それを取り囲む労働法規制に対する、当事者の合意の位置づけと機能の一部を明らかにした。本研究は、それらとの関係で、伝統的な労働法の位置づけとは異なり、当事者の合意を「統括規範としての合意」と位置づけ、労働契約関係ないしそれを取り巻き構成する労働法規制を、「合意に基づく秩序」として理解する。 そして、イギリス労働法を比較対象として、そうした当事者の合意を具体化する契約解釈手法、そして、その局面で巻き込まれる裁判官や制定法の法的意義を明らかにした。また、契約の成立、展開、終了局面での当事者の合意の意義と合意以外の法規範の意義も明らかにした。
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