本研究の目的は、南アジアのなかでも女性の労働参加率が低いパキスタンで、それを妨げる規範的障壁の度合い、障壁を下げうる要因を探り、労働参加を促す政策含意を得ることである。その切り口として、社会規範、具体的には女性を親族以外の男性から隔離するパルダの慣習に焦点を当てる。南アジアではパルダの逸脱は一家の恥であるとの意識が根強く、女性はパルダを守ることで結婚市場における価値を維持する一方、就業機会を逃している。本研究では、家計調査により収集したデータをもとに、パルダの強度とパルダの逸脱費用を計測し、ミクロ計量経済学的な手法を用いて結婚市場における花嫁の価値と女性の労働参加との関係を明らかにする。
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