本研究では,実務に於いて重要な課題である現実的なモデル下でのデリバティブ評価やリスク管理に於いて,有用な方法として知られる「漸近展開法」を対象とした.分布の中心が正規分布に限られていた従来法を拡張し,分布が既知である幅広いクラスの確率過程を中心とした一般的な近似法の確立とその求解,構造の分析を行った. その結果,確率微分方程式の求解問題を,近似の補正項を中心項に射影することで,階層構造を持つ無限個の常微分方程式の問題へと帰着し,解析近似解を得た. これにより,平均回帰性を持つλ-SABRモデルのoriginal SABRモデル周りでの展開等,実務的に興味深い例で精度がよく解釈も容易な近似解を得た.
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