本研究の目的は、「なぜ日本は死刑を存置し続けるのか」という問いについて、刑法だけでなく、軍法会議や戦争犯罪裁判における死刑も含めて検討することにあった。 本研究の成果は四つある。第一に、日本陸軍軍法会議とフランスBC級戦争犯罪裁判の結節点を見出した。第二に、存在不明とされていたA級戦犯の死刑執行始末書の原本を、アメリカ国立公文書館Ⅱにおける調査で発見した。第三に、1948年3月12日の死刑制度合憲判決に注目して、占領期という歴史的・社会的背景が、死刑存置の要因の一つであったと明らかにした。第四に、現在までの日本における死刑制度の論争の歴史をまとめ、両論併記型死刑存置論を提示した。
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