学校や会社などのコミュニティでの生活が必要となる成人期においては,発達障害支援についても機能面や社会面など,多様な方法で対応していくことが必要である。本研究では,成人期にある自閉症スペクトラム障害(ASD)の情報処理機能に注目し,その特徴の理解と改善に向けたアプローチの効果に関する検証を行った。得られた成果として,ASD患者の情報処理機能は,統合失調症群ほどではないものの,健常群と比べると低い成績を示す領域があることが示唆された。また,認知機能の向上を目的とした支援の検討からは,参加者に共通したプログラムよりも,患者個々の特徴を考慮したプログラムを組み合わせることが必要であることが示唆された。
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