研究課題/領域番号 |
15K17380
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
井本 佳宏 東北大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (10451501)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 生徒数減少 / 学校配置計画 / メクレンブルク‐フォアポンメルン州 / 教育機会 / 連携型総合制学校 / 地域学校 / ギムナジウム |
研究実績の概要 |
本研究は、ドイツ中等教育制度の二分岐型化に伴う学校配置計画の再編過程の実態を明らかにすることを通じて、中等教育制度改革という州レベルの改革が、地域レベルにおいてどのように受容、実施されていったかに迫ろうとするものである。研究対象としてメクレンブルク‐フォアポンメルン州、テューリンゲン州およびザールラント州の3州を予定しているが、平成27年度については、主にメクレンブルク‐フォアポンメルン州に焦点を当てて研究を進めた。 具体的には、インターネット等を活用して日本国内からアクセスできる資料等の状況や州文部省からの助言等をもとに、フォアポンメルン‐グライフスヴァルト郡を研究対象として選定して関連諸資料の分析を進めた。そこから、当地における90年代から2000年代前半にかけての生徒数急減期における学校配置計画再編の状況と、2020年ごろから見込まれている再度の生徒数減少期に向けた学校配置計画再編における課題を整理した。その結果、当地における学校配置計画が、最小生徒数と最長通学時間という2つの要件を満たすことを条件として策定されていること、今後さらなる生徒数減少が進んだ場合、2つの要件を同時には満たせない事例が出る可能性があること、そのためギムナジウムと地域学校を連携型総合制学校へと統合する方策が有望視されていることが明らかとなった。以上の知見については、平成28年3月に現地にて郡教育事務所、地域学校2校、連携型総合制学校1校および州文部省への聞き取りを行い、当事者の認識との照合を進めた。 そのほか、テューリンゲン州についても正規学校からゲマインシャフツシューレへの転換の手順に関する諸資料の収集、整理を進めた。 以上のとおり、平成27年度においては、対象とする3州のうち、1州の調査、分析をほぼ終え、1州については次年度以降の調査、分析への基盤を整えることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度においては、研究対象とするメクレンブルク‐フォアポンメルン州、テューリンゲン州およびザールラント州の3州のすべてにおいて、調査対象とする市ないし郡を選定するとともに、1州ないし2州について、現地調査を行うこと、さらに、1州について調査結果の分析まで進め、学会発表および学会誌への投稿を行うことを目標としていた。 実際には、メクレンブルク‐フォアポンメルン州について調査対象とする郡を選定し、現地調査のうえ分析をを進め、分析結果の学会発表まで行うことができた。また、テューリンゲン州については、調査対象とする市ないし郡の選定までは進められなかったが、今後の調査、分析にとって必要な関連資料の収集、整理を順調に進めることができた。調査対象の選定、学会誌投稿に向けた原稿化の作業に若干の遅れはあるものの、全体としての研究スケジュールを見直すほどのものではなく、現在までの進捗状況としては「おおむね順調に進展している」と評価することができる。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度はおおむね順調に研究を進めることができた。したがって、基本的には、今後の研究推進にあたっても、当初の計画を維持する方向で進める方針である。 差し当たり平成28年度については、メクレンブルク‐フォアポンメルン州についての調査、分析結果の原稿化と学会誌への投稿を行うとともに、当初の計画に従い、テューリンゲン州、ザールラント州については調査地の選定を早急に進め、現地調査を実施する。また、調査結果の分析をもとに、学会発表、学会誌への投稿も行うこととする。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度に支出を予定した研究費のうち、7万円弱が次年度に繰り越すこととなった。ドイツでの現地調査を2回を予定していたところ、1回にとどまったことが主な要因である。
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次年度使用額の使用計画 |
多少緩和されてきたとはいえ円安傾向が続いており、繰り越した研究費については海外調査を実施する際の為替変動への対応に活用することで、円滑な調査実施を図っていく計画である。
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