研究実績の概要 |
本研究では期間全体を通して、希土類系材料の研究/開発の推進ために3つのガドリニウム同位体Gd-155(放射性同位体線源でのメスバウアー分光法での蓄積あり)、Gd-157(エネルギー分解能が最高)、Gd-158(同位体存在比が最大)についての放射光メスバウアー吸収分光法を検討・開発するものである。そのため、1、Gd核共鳴散乱のエネルギー(64 ~ 87 keV)における放射光強度の確認及び不足している場合の強度確保法の試行、2、放射光メスバウアー吸収分光法のキーコンポーネントであるエネルギー基準体に最適な化学種の選定、3、価数や磁性に対する応答の物性測定への応用可能性の確認及び応答性が不足する場合の改善法の模索、を行うものである。平成27年度においては、上述の2に該当する、エネルギー基準体候補の選定し、その作成法の調査・調製の試行を主として行った。本手法におけるエネルギー基準体には、I, メスバウアー効果が起きる確率が高いこと、II, メスバウアー効果によって吸収される原子核準位が縮退しており、励起状態・基底状態ともに1つの準位であること、III, 化学的に安定であり、真空中ないし大気中で利用できること、の3条件をなるべく高いレベルで満たす必要がある。本年度はこの基準体の候補としてGd2O3・GdF3・GdAl2・GdPd3・GdB6を選び、これらの作成法を調査した結果、GdF3・GdB6以外は現有の施設で調製できることを確認した。残りに二つについては、他施設での調製を検討している。また、これらに加えて、上述1の強度確認及び2の化学種を決定したのちのエネルギー基準体の原料として、同位体富化試薬を調達した。得られた試薬が計画時より少量だったため、少量の試薬でも濃度を確保できる小さな錠剤を作成するべく、3mmφの錠剤成型器具を作成した。
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