研究課題/領域番号 |
15K17531
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
黒木 慎太郎 東京大学, 数理(科)学研究科(研究院), 研究員 (90433309)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | トーラス多様体 / コンパクトリー群の作用 / 擬トーリック多様体 / ルート系 / GKM多様体 |
研究実績の概要 |
複雑性1のトーラス多様体が拡張作用を持つ場合の分類を部分的に行った。特に、単連結の場合でコンパクト例外リー群作用への拡張がある場合は、6次元球面と単連結なトーラス多様体との直積になることが分かった。この結果について、大阪市立大学で行われた国際会議Toric Topology 2015 in Osakaにおいて講演を行った。今後は他のリー群へ拡張する場合の分類も進める計画である。 2015年8月にトロント大学に滞在しKarshonとトーラス多様体の同変微分同相による分類の研究を進めた。この結果に関しては現在論文を執筆中である。 Masudaとともに定義したトーラス多様体上のルート系と、Bahri-Bendarsky-Cohne-Gitlerが定義した擬トーリック多様体上のJ-constructionとの間に関係があることが分かった。特に、拡張作用を持つ擬トーリック多様体の軌道空間はJ-constructionで得られることが分かった。これは、組み合わせ論的なアイデアで定義されていたJ-constructionに対して、幾何的な意味づけを与える研究とみなすことができる。 前年度(2014年度)に得られていた、GKM多様体上のトーラス作用がより大きなトーラス作用へ拡張するための不変量に関する論文を執筆し査読付きの雑誌に投稿した。投稿後にKAIST(韓国)の学生たちが論文を精読しこの不変量を計算するためのプログラムを作っているとの報告を受けた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
この研究の中で目標としている『複雑性1のトーラス多様体の分類定理』を得ることは易しい問題ではないことが今年度の研究の中で分かってきた。その意味で、研究目標への到達はやや遅れているのだが、一方で、ルート系とJ-constructionの間の思いがけない対応が見つかった。これは拡張作用に関する大きな進展とみなすことができ、今後の複雑性1の拡張作用を考えるうえで大きなステップになるのではないかと予想している。
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今後の研究の推進方策 |
複雑性1のトーラス多様体をすべて考えるのではなく、計画が上手く進まなかった場合に想定していた、拡張作用がある場合に的を絞って研究していく計画である。それと同時に、J-constructionの一般化についても考えてみたい。
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