D-加群の各種計算アルゴリズムを実行するには,微分作用素環のイデアルのグレブナー基底を求める必要がある.グレブナー基底を計算するアルゴリズムは存在し,計算機を用いて計算できるが,変数を多く含むような複雑な微分方程式系や,一般の n 変数を含む微分方程式系の場合には,計算機を用いてグレブナー基底を計算することは実質不可能である. 本研究では,多変数超幾何微分方程式系に対して,計算機を用いずにグレブナー基底を理論的に計算し,そのグレブナー基底を用いることによって,特性多様体,特異点集合,Pfaff 系(連立1 階線形偏微分方程式系),特異点集合上への微分方程式系の制限などを調べる.
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