研究課題
若手研究(B)
本研究では,すばる望遠鏡の広視野可視カメラHyper Suprime-Cam(HSC)を用いた過去に例のない広領域深宇宙サーベイにより高赤方偏移銀河を探査し,50万個を越える高赤方偏移銀河のサンプルを構築した.これは過去の研究と比べて10倍以上に相当する.100平方度を越える広い視野に渡って構築されたこの大規模サンプルに基づき,基本的な観測量である紫外光度関数および角度相関関数を導出し,高赤方偏移銀河の統計的な性質を明らかにした.
天文学
高赤方偏移銀河の光度関数は,低赤方偏移の観測結果をよく説明するシェヒター関数と比べて,明るい側で有意に超過していることがわかった.このことは,高赤方偏移銀河ではたらいているAGNなどによる星形成抑止効果がこれまで考えられていたよりも弱いことを示唆している.また,ハロー質量と星形成率の間に高赤方偏移で普遍的な関係があることを発見した.この関係と宇宙の構造形成理論を組み合わせると,銀河進化を理解する上で基本的な観測量である宇宙の星形成率密度の過去から現在に至る進化を自然に説明できることがわかった.