本研究は、銀河面の様々な大質量星形成領域の母体分子雲を観測・探査し、大質量星の起源に迫ることを目的とした。特に近年理論的に整備が進みつつある分子雲衝突に着目した。 まず、数値シミュレーションと観測を相互比較することで、2つの異なる速度を持つ2個の分子雲に見られる「相補的な空間分布」および「中間速度成分」の2つが分子雲衝突を観測的に診断する上で非常に強力であることを突き止めた。次に、様々な大質量星形成領域にこの手法を適用し、最終的に40領域を超える天体で分子雲衝突による大質量星形成の証拠を掴んだ。本研究により、分子雲衝突が銀河の大質量星形成の主要なモードのひとつを担うことが明らかとなった。
|