鉄カルコゲナイド超伝導体FeSe1-xTex薄膜の基礎物性の評価と,FeSe薄膜をベースにした人工超格子薄膜の作製を行った.FeSeで見られた構造相転移はTe置換とともに抑制され,構造相転移が完全に抑制されたTe量において,最も高い超伝導転移温度が得られることを明らかにした.また,(FeSe)-(FeTe)人工超格子薄膜を作製した結果,周期構造を反映したサテライトピークを観測し,透過電子顕微鏡像でも周期的な組成の変調を確認した.上部臨界磁場の異方性の結果は,本来障壁層であるFeTe層にSeが侵入することによって超伝導化し,この層が人工超格子の超伝導を担っていることを示唆している.
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