研究課題
本研究課題では、原始惑星系円盤内での多様な物理過程を詳細な数値計算により検証し、太陽系形成理論の新しい枠組みの提案を目指す。本年度は、主に原始地球への巨大天体衝突に伴う物理過程について、新しいシナリオの提案および新しいN体計算コードの開発・適用を行った。地球型惑星形成後期に複数回起きたと考えられている巨大天体衝突に伴い、大量の衝突破片が地球周辺に散らばり、それらが再集積する際の初期地球に対する力学的・化学的影響を数値計算により推定した。その結果、地球の軌道離心率が小さいこと、地球マントル中の親鉄元素が過剰であること、および冥王代地球の大気が還元的であったこと、などを統一的に説明することが可能となった。また、Pezy-SC で動作する FDPS を用いた新しい rubble pile N 体計算コードを開発した。本コードを用いて、月形成に関する N 体計算を超高解像度で行うことに成功した。原始月円盤を表現する粒子数が大幅に増えたことで、先行研究では見られなかった複雑な構造が現れ、新たな物理過程が現出することにより、月形成のタイムスケールが遅くなることなどがわかった。さらに、地球以外で生命を宿している可能性のある木星やガリレオ衛星について、その形成過程に関する数値計算を行った。その結果、衛星形成の場である周惑星円盤内において、微衛星の形成可能性を検証したところ、極めて限られた条件下でのみ微衛星が形成できることがわかった。さらにペブル集積を考慮した衛星形成の可能性についても検証し、ガリレオ衛星が形成可能な物理パラメータの推定も行った。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件) 図書 (2件) 備考 (1件)
The Astrophysical Journal
巻: 856 ページ: 175
10.3847/1538-4357/aab369
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Earth and Planetary Science Letters
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http://sasakitakanori.com