地球温暖化の進行と共に急激に進行している北極域の海氷の減少が、偏西風の蛇行を通して中緯度域の異常気象に与える影響と、そのメカニズムについて調査した。複数の大気大循環モデルによる大規模アンサンブルシミュレーションと、線形傾圧モデルによる力学過程の診断から、以下のことが明らかになった;①過去気候の再現実験において、大気循環の蛇行を表すWACEパターンの発現を通して、海氷の減少が冬季に東アジアに寒冬をもたらす確率を増加させているが、②全ての大気モデルにおいて、WACEパターンの変動とその影響が観測に比べて過小評価されており、③このことは、大気海洋結合過程の重要性を示唆している。
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