高分子電解質を固体基板表面に化学的に結合した高分子電解質ブラシは、その超親水性や低摩擦性などから、広い分野での応用が期待される化合物である。しかし最近の研究では高分子電解質ブラシはブラシ薄膜中で完全にはイオン解離しておらず、そのために十分な性能が発揮されていないことも指摘されている。本研究ではイオン解離を十分に促進された高分子ブラシを作製することを目的に、ブラシ内部でのイオン分布をX線小角異常散乱法により解析し、ブラシ作成条件の検討の目安とすることを当初目的とした。その過程で高分子が水界面でミクロな凝集構造をとっているという、今後のブラシ構造制御に極めて重要かつ新規な知見の発見に成功した。
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