本研究は、膜分離活性汚泥法(MBR)において、細菌が有する情報伝達シグナル物質を介した菌体密度感知システム(クオラムセンシング)を対象とした革新的膜ファウリング制御技術について、そのメカニズムの解明に資する知見を得ることを目的とした。シグナル物質であるアシルホモセリンラクトン(AHL)の汚泥中濃度の分析手法を確立し、異なる条件で運転した実験室MBR中のAHL濃度と膜ファウリングの関係性を検証した。その結果、MBR汚泥中において複数のAHLを検出し、MBR汚泥中でクオラムセンシングが機能していることが示唆された一方、汚泥上澄み中で検出されたAHL濃度と膜ファウリングとの明確な関連は見られなった。
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