研究課題/領域番号 |
15K18186
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研究機関 | 明海大学 |
研究代表者 |
前島 彩子 明海大学, 不動産学部, 講師 (00732885)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | アフリカ / 都市 / 団地 / 経年 / 集合住宅 / 更新 |
研究実績の概要 |
一団地型集合住宅団地の開発は1970年代に世界で広くみられた住宅供給手法であり、サブサハラアフリカ地域の都市においては、独立を契機としてこうした近代的集合住宅団地が建設されている。これらは近代的性能の高さと中心地の立地という利点を持ちながら、更新技術が未発達であるために、老朽化の問題を抱えている。本研究は、アフリカ都市の高経年集合住宅団地の建築計画、材料・構法の実態を明らかにし、国内で検討されているハードとソフトの更新手法を参照した上で、現地の気象条件、建築技術レベル、経済、制度規制等に適した、実務的な更新の指針を検討するものである。 更新指針検討を実情に即したものとするために現状把握が重要である。平成27年度は、具体的な集合住宅団地の実態を明らかにするために、アクラ(8月)とダカール(3月)において実地調査を行い、以下を整理した。①供給時の建築計画を明らかにするために、計画機関へのヒアリング、図面類の収集、了承の得られた住戸の実測を行い、図面化した(3月末に調査したダカールについては図面化できる状態にある)。②現在の利用状況について、住宅供給機関、居住者、住人組合等へヒアリングして所有権のあり方、維持管理の運営方法を整理した。2都市で同様の調査を行ったことで、所有権のあり方、運営方法の違いを明確にできた。違いの要因分析は、比較事例が限られるため、今後の事例追加により進めたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定通り2都市において実地調査を行うことができた。 しかしながら、調査先との調整に時間を要したこと、実地調査の遂行を優先して資料整理を申請者自身で行ったため、平成28年に調査予定である、国内の権利関係が複雑なマンション事例のリストアップが不十分である。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、国内調査と実地調査を相互に進め、更新手法の手法抽出と適応可能性を探る。 まず、平成27年度不十分であった国内事例のリストアップを早々に終え、国内事例へのインタビューを実施する。 実地調査は、調査実績のあるルサカ(8月)とこれまでの調査地と対象化できる都市(2月)を予定している。ルサカにおいては、集合住宅団地の実態のみならず、現地で入手可能な更新に関わる建設技術、材料、コスト等について把握する。もう1都市においては平成27年度と同様の調査を行い、立地・社会背景等による、経年集合住宅団地の置かれた状況の多様な状況を把握し、事例間における違いの要因を明確にすることを目指す。また、国内調査から抽出された更新手法からアフリカでも有効と考えられる手法の適用性を探る。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度の調査から、2都市で所有権や管理運営体制が大きく異なる状況が明らかになり、その要因分析のために調査地を加える必要があると判断した。このため、平成28年度は当初予定以外の1都市に加えてもう1都市の実地調査できるよう、使用額の調整を行った。具体的には、調査とりまとめのための調査謝金を削減するため、申請者自身でとりまとめ作業をおこなった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度の実地調査旅費に使用する。
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