研究課題/領域番号 |
15K18400
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
垣内 美和子 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任研究員 (40750790)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | オルガノイド / 発癌モデル |
研究実績の概要 |
癌細胞では遺伝子変異が多数認められるが、その中には癌化を促進するドライバー変異と、癌化したことによって受動的に生じたパッセンジャー変異に分けられる。近年は次世代シークエンサーを用いた網羅的ゲノム解析により、癌の遺伝子変異プロファイルが明らかになってきているが、癌化や治療法の検討のためには、ドライバー変異かパッセンジャー変異かを見分けることが重要である。 本研究は、遺伝子変異の機能を解析するため、マウス胃より採取した正常上皮細胞を培養したオルガノイドを作成した。これに対し、レンチウイルスベクターを用いたshRNAによるノックダウン・cDNAの強制発現を行い、オルガノイドの発現調節を行うことで、遺伝子変異の機能を解析するモデルとしている。実際に、複数のベクターの組み合わせも試み、real-time PCR、免疫組織化学によって発現変化を確認できた。 さらに、作成したオルガノイドをヌードマウスの皮下に移植することで、腫瘍形成能の有無を検討している。特に、びまん性胃癌に特異的に認められるRHOA遺伝子の変異、融合遺伝子の機能解析を中心に行っており、現時点ではオルガノイドがヌードマウスの皮下に生着することは確認されたが、腫瘍(癌)としての形成には至っていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
発現調節を行う目的としている遺伝子の組み合わせにおいて、明らかな腫瘍形成能を持つものが認められなかったため、形成された腫瘍における発がんメカニズムの解明には至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
腫瘍形成に必要な因子を探索すべく、液性因子の添加、間質細胞との共培養、他の遺伝子発現操作などを追加実験している。また、目的とする遺伝子の機能評価としては、腫瘍形成能だけでなく、in vitroでの網羅的な発現変化も検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画としては本年度中に、形成された腫瘍における発癌メカニズムの解明(発現解析、リン酸化解析等)まで行う予定であったが、腫瘍形成に至らず、腫瘍形成実験を繰り返したことにより、金額に差異が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
今後も腫瘍形成に必要な因子の探索および、発癌メカニズムの解析を進める計画である。
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