研究課題
本研究では大腸発癌フィールド形成に関わるヒストン修飾異常を解明し、大腸癌リスク予測マーカーとして臨床応用することを目的としている。CIMP大腸腫瘍の多発症例および非CIMP大腸腫瘍症例の正常大腸粘膜におけるヒストン修飾(H3K4me3とH3K27me3)をChIPシークエンス法で解析した。ES細胞においてBivalent修飾を受け、かつ癌細胞でDNAメチル化する遺伝子の多くは、CIMP大腸腫瘍の多発症例の背景大腸粘膜においてH3K27me3でマークされていた。また正常大腸粘膜においてH3K27me3でマークされている遺伝子の約60%が、ES細胞ではBivalent修飾を受けていた。これらの結果から正常大腸粘膜におけるヒストンH3K27me3が大腸腫瘍のエピゲノム異常のpre-markとなっている可能性が示唆された。バイオインフォマティクス解析から大腸癌高リスク群とされるCIMP大腸腫瘍症例の正常大腸粘膜に特徴的なヒストン修飾パターンを示す遺伝子を約10個抽出した。多数の臨床検体を対象にChIP-qPCR解析を行う予備実験を行い、新鮮凍結切片からヒストン修飾解析ができるように、ChIP-qPCRの条件を最適化した。さらに新鮮臨床検体を約120検体採取しヒストンH3K4me3およびH3K27me3に対する抗体を用いてChIPを行った。
2: おおむね順調に進展している
当初の予定どうり、網羅的解析からの候補遺伝子の抽出、多数の臨床検体を用いたChIP-qPCRの条件検討、臨床検体の採取とChIPを行った。
候補遺伝子におけるヒストンメチル化の、大腸癌リスク予測マーカーとしての有用性を検証するため、多数の臨床検体を対象にChIP-qPCR解析を行う。
順調にChIP-シークエンスからの候補遺伝子の絞り込みができ、またChIP-qPCRの条件検討も進んだ。
より多数検体でのChIP-qPCR施行とメチル化、発現解析に使用する。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)
Oncotarget.
巻: 6 ページ: 29975-90
10.18632/oncotarget.5034.