研究課題
大腸鋸歯状病変である Sessile serrated adenoma/polyp (SSA/P)は、高率なBRAF変異、CpG アイランドメチル化の多発(CIMP)など、マイクロサテライト不安定性(MSI)大腸がんに特徴的な分子異常を示すことが明らかにされ、前がん病変として注目されている。SSA/Pの多くは右側結腸に存在し、多発する傾向にあり、またSSA/P症例は同時多発大腸がんのリスクが高いことが報告されている。これらの知見は一見正常に見える背景大腸粘膜において、発がんの素地となる分子異常が既に存在することを示唆している。SSA/P症例と非SSA/P症例の正常右側大腸粘膜および腫瘍組織を対象として、DNAメチル化とヒストン修飾異常の統合解析を行った。DNAメチル化はInfinium HumanMethylation450 BeadChip、ヒストン修飾は抗H3K27me3抗体を用いたクロマチン免疫沈降シークエンス(ChIP-seq)およびChIP-qPCRにより解析した。SSA/P症例の正常右側大腸粘膜では、H3K27me3でマークされている遺伝子数が非SSA/P症例と比較して有意に多かった。またSSA/P症例の正常大腸粘膜でH3K27me3を示す遺伝子は、SSA/Pにおいて高頻度にDNAメチル化を示した。SSA/Pの背景粘膜において特徴的なH3K27me3を示す遺伝子を抽出し、SSA/Pと非SSA/P症例の正常大腸粘膜65検体を対象にChIP-qPCR解析を行った。SSA/P症例の右側結腸では有意にH3K27me3の上昇が検出されたが、左側結腸からは検出されなかった。さらに背景粘膜でH3K27me3が検出された場合、腫瘍ではDNAメチル化が検出された。これらの結果から右側大腸粘膜ではH3K27me3修飾の蓄積がSSA/PにおけるDNAメチル化異常のpre-markとなり、腫瘍発生に関与している可能性が示唆された
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件)
Mol Carcinog
巻: - ページ: -
10.1002/mc.22631.
PLoS One.
巻: 11 ページ: -
10.1371/journal.pone.0168281.
Oncotarget.
巻: 7 ページ: -
10.18632/oncotarget.9044.