今後の研究の推進方策 |
(1)小胞体-ゴルジ体接触部位の新規構成因子の探索:二次スクリーニングとして、MITのAlice Ting博士らによって確立されたプロテオミックマッピングと呼ばれる手法(Rhee et al., Science, 2013)を小胞体-ゴルジ体接触部位に適用する。具体的には、VAPと強く結合して膜接触部位に顕著に集積するOSBP PH-FFAT変異体にascorbate peroxidase 2(APEX2)を融合させ、VAP-OSBP-Sac1からなるコレステロール輸送複合体に結合しているタンパク質を過酸化水素存在下でビオチン標識する。その後、ストレプトアビジンビーズによって精製し、質量分析を行なう。すでに機能・局在解析を始めているタンパク質については、引き続き解析を進める。また、上記ビオチン標識がなされるかどうかをウェスタンブロッティングによって確認する。(2)小胞体-ゴルジ体接触がCa2+輸送に関与する可能性:VAPやCERT、OSBPの発現抑制細胞で、実際に細胞質からTGNへのCa2+の流入量が減少しているかどうかを明らかにするため、fluorescence resonance energy transfer(FRET)を利用したTGN特異的Ca2+センサーであるGo-D1cpv(Lissandron et al., Proc Natl Acad Sci USA, 2010)を用いて調べる。また、イノシトール1,4,5-トリスリン酸受容体の発現抑制細胞についても同様に調べる。(3)細胞分裂期CARTSの解析:VAPおよび、CERT、OSBPの発現抑制などCARTS形成が阻害される条件下で細胞分裂の進行に影響が見られるかどうかをライブセルイメージングで調べる。
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