動物の生存にとって、危険に対して恐怖を感じて適切に対応することは重要である。マウスは、天敵の匂いを嗅ぐと行動・自律神経・内分泌性の恐怖反応を示す。本研究では、我々が同定したオオカミの尿に含まれるピラジン化合物を用いて、恐怖反応の誘発・制御機構の解明を試みた。その結果、ピラジン化合物の匂い情報は脳内の主嗅覚系および鋤鼻系の両方の神経回路を活性化することで初めて様々な恐怖反応を同時に引き起こすことが示唆された。また、これらの嗅覚系は脳内の分界条床核および視床下部前核において領域特異的な活性化を引き起すことが示唆された。
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