熱水噴出域は硫化水素が多量に含まれる有毒環境である。本研究では、深海性多毛類(マリアナイトエラゴカイ、ウロコムシ類)に着目し、環境中の硫化水素無毒化戦略を明らかにするため、ヒポタウリン・タウリン合成経路を明らかにした。さらに、硫化物濃度によってタウリン合成に関与する酵素遺伝子の発現量が増減することを見出した。したがって、環境中の硫化物濃度によってタウリン・ヒポタウリンの合成量を変えていることが示唆された。種間比較では、タウリン合成に関与する酵素遺伝子の数やそれらが増減する硫化物濃度が異なっており、同所的に生息しているにも関わらず硫化水素への適応戦略が異なっている可能性が示唆された。
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