研究課題/領域番号 |
15K18629
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
東 暁史 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 果樹茶業研究部門, 主任研究員 (00391475)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 発現制御 / エピゲノム / 遺伝子 / 植物 |
研究実績の概要 |
昨年度は、「紅高」と「ブラジル」の着色遺伝子座に存在するVvMYBA1BENアレルのプロモーター領域のDNAメチル化パターンやメチル化レベルをバイサルファイトシーケンス法により解析した結果、「紅高」のVvMYBA1BENにおけるレトロトランスポゾンの3’LTR領域に存在する7個のCpGサイトのメチル化レベルが42.4~100.0%であったのに対し、「ブラジル」では0.0~48.8%と著しく低下していることが明らかになった。 本年度は両品種のDNAメチル化レベルの時期別、組織別変動を解析するために、多検体のDNAメチル化レベル解析に適した方法であるquantitative methylation specific PCR (qMSP)法の検討を行った。バイサルファイトシーケンスにより取得したバイサルファイト処理後のVvMYBA1BENアレルのシーケンス情報を利用して、メチル化DNA検出用と非メチル化DNA検出用のプライマーをMethPrimerにより設計した。その結果、特定のプライマーを用いることで、増幅効率・特異性が比較的良好なデータを得ることができた。このプライマーを用いて、完全着色期における「紅高」と「ブラジル」の果皮ならびに葉組織のDNAメチル化レベルを解析したところ、「紅高」果皮では44.6%であったのに対し、「ブラジル」果皮では16.0%と、バイサルファイトシーケンス法で得られた結果と同様に、「ブラジル」のDNAメチル化レベルが著しく低下していることが明らかになった。さらに、葉のDNAメチル化レベルは「紅高」で91.1%、「ブラジル」で81.1%と両品種とも著しく高く、葉組織においてはDNAメチル化によりVvMYBA1の発現が抑えられていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、設計したqMSPプライマーを用いて、完全着色期における「紅高」と「ブラジル」の果皮ならびに葉組織のDNAメチル化レベルを解析し、「紅高」果皮では44.6%、「ブラジル」果皮では16.0%と、バイサルファイトシーケンス法で得られた結果と同様に、「ブラジル」のDNAメチル化レベルが著しく低下していることが明らかにした。さらに、葉のDNAメチル化レベルは「紅高」で91.1%、「ブラジル」で81.1%と両品種とも著しく高くなっていることを明らかにしたことから、本課題は概ね順調に進展しているものと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度作成したプライマーは同一サンプル間でも非特異的な増幅が生じることがあるなど、結果の再現性にやや問題があった。そこで、研究期間を30年度まで延長し、プライマーの再設計やPCR条件の詳細な検討を行った上で、両品種のDNAメチル化レベルの時期別、組織別変動を改めて解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度作成したqMSPプライマーは同一サンプル間でも非特異的な増幅が生じることがあるなど、結果の再現性にやや問題があった。そこで、研究期間を次年度まで延長し、プライマーの再設計やPCR条件の詳細な検討を行った上で、両品種のDNAメチル化レベルの時期別、組織別変動を詳細に解析する。
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