本研究は特発性肺線維症治療薬について有効かつ安全性の高い治療法の戦略的開発を目指すものである.すなわち特発性肺線維症治療薬を直接的に肺に投与可能な吸入粉末製剤を作製し,その物理化学的特性ならびに吸入粉末製剤を軌道内に投与した際の有効性および安全性について評価を実施した.作製した吸入粉末製剤は吸入に適した物理化学的性質を有し,実験的肺炎症モデル動物において極めて低用量で良好な炎症反応抑制効果を示すとともに,有効性を示した投与量において副作用を発現する用量の薬剤投与群と比較したところ,吸入粉末剤は全身への曝露量を低減でき,各種副作用リスクについても非常に低いことを示唆した.
|