二次組織に転移した癌細胞は、「転移ニッチ」と呼ばれる特殊な周囲微小環境と相互作用することにより、転移部位での生存、定着を果たす。本研究はマウス乳癌肺転移モデルを用いて、転移ニッチの分子実体の解明を行った。その結果、肺に転移した乳癌細胞は、肺血管内皮細胞と近接して存在していること、肺血管内皮細胞は乳癌細胞の増殖および癌幹細胞性の維持に寄与していることが明らかとなった。また、肺血管内皮細胞の遺伝子発現解析によって、転移ニッチ分子として、Cthrc1、Cxcl9等を同定した。この結果は、乳癌転移を抑制するための新たなアプローチの開発に繋がると考えられる。
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