研究課題
我々はこれまでに、胎仔期の赤血球分化時のミトコンドリアの除去にUlk1を介した新規オートファジーが重要であることを明らかにしてきた。しかしながら、その詳細な分子メカニズムは未解明であるため、本研究では野生型と新規オートファジー欠損(Ulk1KO)マウスの赤血球を用い、網羅的な解析から候補分子の探索を行った。今年度は、前年度までに見出していたUlk1の下流で働きうる候補分子のうち、ホスホリパーゼ及びユビキチンリガーゼに着目し、解析を行った。MEFを用いた新規オートファジーに対する影響を解析した結果、両タンパク質共に、遺伝子ノックダウンにより新規オートファジーの抑制が、過剰発現によりリソソーム内への蓄積が確認された。これらの結果から、両タンパク質は新規オートファジーの進行過程において重要な役割を果たしていることが考えられた。また新規オートファジーの解析過程で、比較対象として観察していた従来型オートファジー欠損細胞において、細胞の遊走能が高くなること、および中心体数が増加していることを見出した。詳細な解析を行ったところ、遊走能に関しては、細胞運動に関与するRhoの活性化因子であるGEF-H1がオートファジーにより分解されており、オートファジー欠損細胞ではその分解が抑制されることで細胞の遊走能が高くなることを明らかにした。また、中心体数制御に関しては、基質認識分子p62を介したオートファジーが、中心体タンパク質Cep63を分解することで中心体数の制御を行っており、オートファジー欠損細胞では余剰なCep63が蓄積し、それが中心体形成に関与することを明らかにした。本研究結果は、新規オートファジーのメカニズムの一端が明らかにしただけでなく、従来型オートファジーの新たな機能を明らかにした。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件)
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