本研究課題では、神経活性化による局所炎症誘導機構「ゲートウェイ反射」に着目し、痛みやストレスによる神経活性化が、どのように炎症病態に影響するかを解析した。まず痛み刺激によるストレスは、脳内前帯状回を介し、脊髄腹側血管を制御する交感神経を活性化させ、活性化モノサイト、血管内皮細胞からのケモカイン発現を上昇させることで病態の再発を誘導した。さらに睡眠障害による過度のストレスは脳内での炎症を誘導し、これらの炎症が新たな神経回路を活性化させることで、最終的に致死性の胃十二指腸潰瘍を誘導することを明らかとした。これらの結果は、「病は気から」の分子機構を説明するものであり、新規治療法への応用が期待できる。
|