インフルエンザは症例・関連死亡率が多い割に、重症化回避のための診断法は未開発である。我々は、一定量のインフルエンザウイルスを培養細胞に感染させ72時間後のウイルス量を評価することにより、ウイルス株により増殖能に大きな違いがあることを示した。また、インフルエンザ重症化症例の一部に細胞傷害が関与していることが死亡解剖体の病理所見に確認されていることから、インフルエンザウイルスの細胞傷害能を増殖能と比較するパイロット調査を行ったところ、A(H1N1)亜型とB型について増殖能が高いほど細胞傷害率が高い結果を得た。このことは、増殖能が有望な重症化予測因子であることを示唆している。
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