エネルギー分散型蛍光X線分析(EDX)の法医実務における有用性について検討した.剖検例の蝶形骨洞内貯留液をEDXで測定したところ,海水溺死事例の試料中より高濃度の塩素および臭素を検出し,蝶形骨洞内貯留液を用いた検査が海水溺死の判断の一助となる可能性が示唆された.次に,感電モデル動物の皮膚をEDXで測定したところ,通電導体として使用した金属の金属化現象がみられ,肉眼で確認できない電流斑の証明がEDXにより容易にできた.また,射創がみられた剖検例において射入口と射出口の皮膚をEDXで測定したところ,射入口の皮膚片より弾丸の成分が検出され,射入口と射出口の鑑別ができる可能性が示唆された.
|