平成28年度は、平成27年度に完成させた食道組織内還流装置の試作品を用いて、生体ブタにおける食道組織内アセトアルデヒド濃度測定実験を行った。具体的な方法としては、飲酒後の生体ブタに対して、全身麻酔下に微小還流装置のチューブを経口で挿入した上で内視鏡を挿入し、内視鏡観察下に目的部位までチューブを移動させ、把持鉗子を用いて還流針を留置、測定を行った。また、還流針留置部近傍より食道生検を行い、生検組織内アセトアルデヒド濃度の測定もあわせて行った。結果として、食道組織内還流装置による食道組織内アセトアルデヒド濃度の測定は困難であった。理由としては、内視鏡と微小還流装置チューブが干渉するため、安定的な留置が困難であることが挙げられた。現在、内視鏡と干渉しないチューブ、そして最終的には内視鏡鉗子口より挿入できる細径の微小還流装置チューブ作製に向けて検討中である。 一方、飲酒後の生体ブタ食道生検組織よりアセトアルデヒド濃度が測定されたことから、ヒトにおいても食道生検組織からアセトアルデヒド濃度の測定が可能と考えられた。このため、東北大学病院倫理委員会にて承認を得た上で、アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)2活性型、不全型の健常成人において食道・胃生検組織からアセトアルデヒド濃度の測定を行った。その結果、ヒト食道・胃生検組織からもアセトアルデヒド濃度の測定が可能であることが判明し、今後行う試験の基礎となるデータが得られた。
|