研究課題
視神経脊髄炎 (Neuromyelitis Optica:NMO) は、抗アクアポリン4(AQP4)抗体によるアストロサイト破壊と二次性の髄鞘障害を特徴とする中枢性炎症性疾患であるが、その詳細な脱髄機序は不明であった。本研究では、独自に開発した抗マウスAQP4抗体を使用したNMOモデルマウスを用い、脱髄規序としてアストロサイト障害そのものが寄与するわけではないこと、投与する補体の量が脱髄範囲と程度に影響を及ぼしていること、脱髄に先行したオリゴデンドロサイトの破壊が生じている事、髄鞘貪食細胞の浸潤と脱髄の程度に相関があること、脱髄及び組織障害の程度は比較的軽く、その数週間で完全に回復することなどを見出した。この事実は、NMOが組織破壊を伴う重度の神経障害性疾患であるとする従来の考え方に一石を投じる発見であり、NMOに対する治療戦略を考える上で重要な知見を与えると考えている。また、本研究を遂行するに辺り、抗マウスAQP4抗体を用いた新たな全新型のNMOモデルを確立する事が出来た。今後はこれらのモデルを併用し、さらなる病態規序の解明、また新たな治療の確立を目指して更に回席を勧めていく予定である。また本研究は、NMOの病態解析に主眼を置いたものであるが、その結果として生じる髄鞘脱落、あるいは神経変性の機序にも着目したものであった。本研究を通じて見出した、脱髄に関する新たな病態について、ヒト由来の検体を用いた検討によって、炎症性脱髄性疾患における新たな病態を発見し報告する事が出来た。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)
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