時間分解分光装置(TRS)は組織の血液量、酸素飽和度等を非侵襲的に測定できる。今回の研究では乳癌において、腫瘍のサイズ、深さによるTRSで測定される総ヘモグロビン濃度の測定への影響を検討し、また酸素飽和度および散乱係数と皮膚胸壁間距離の関係を検討した。腫瘍の総ヘモグロビン濃度は腫瘍サイズが大きくなると増加し、腫瘍が深くなると低下することがわかった。健側乳房において、酸素飽和度は皮膚胸壁間距離が小さいと低下する傾向があること、健側乳房と比較し腫瘍で酸素飽和度が低い傾向があること、健側乳房において散乱係数と皮膚胸壁間距離に負の相関があること、健側乳房と比較し腫瘍で散乱係数が高いことがわかった。
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