研究課題
若手研究(B)
多くのヒトがんでは、がん遺伝子の活性化やがん抑制遺伝子の機能欠損が細胞のがん化を引き起こしている。卵巣明細胞癌では、がん抑制遺伝子であるARID1Aが高い頻度で遺伝子変異を起こしており機能が欠損している。本研究は、ARID1Aのがん抑制機能の中でも、細胞増殖制御と細胞競合という新たな概念に基づいた研究を行った。その結果、ARID1A遺伝子を欠損した細胞では、欠損していない細胞に比べて優位に増殖することがわかった。さらにARID1A遺伝子が欠損した細胞内で起こる遺伝子発現の変化を特定した。
婦人科腫瘍学
卵巣癌の中の一つのタイプである卵巣明細胞癌は、既存の抗癌剤に抵抗性を示す難治性の疾患である。日本における卵巣明細胞癌の発生頻度は、卵巣癌全体の25%を占め、欧米の8%と比べても極めて高く、近年急速に増加している。そのため、卵巣明細胞癌に対する新たな治療法開発のための基礎研究が、特に日本において重要な研究課題である。本研究は、卵巣明細胞癌の発症メカニズムの一端を解析したものであり、このメカニズムの理解は、新たな治療薬、予防薬の開発に繋がる可能性があることから臨床的に貢献できる。