眼窩減圧術を施行された甲状腺眼症患者を対象とし、眼瞼圧とドライアイ重症度の変化を調査した。また、片側顔面神経麻痺患者に対し、眼瞼圧とドライアイ重症度を患側と健側で比較した。退行性眼瞼下垂患者において、術前後の眼瞼圧とドライアイ重症度の変化を研究する予定であったが、患者からの研究の同意が得られなかった。 甲状腺眼症に関しては、眼窩減圧術後に閉瞼時の最大眼瞼圧が有意に低下した。これに伴い、マイボーム腺開口部の所見(眼瞼縁の不整、血管拡張、及びマイボーム腺梗塞)及びマイボーム腺形態に有意な改善が見られた。以上より、眼窩減圧術によって眼瞼圧を低下させることで、マイボーム腺機能を改善させることが出来ると考えられた。 顔面神経麻痺に関しては、閉瞼時の最大眼瞼圧が、健側と比較し、患側では有意に低かった。一方で、ドライアイの重症度に患側と健側で有意な差は認めなかった。本研究では、顔面神経麻痺が軽度の症例が多かったため、さらなる症例の追加が必要と考えられた。
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