本研究は、デクスメデトミジン(DEX)の抗炎症効果の機序の解明を目的とした。まず、マウスマクロファージ由来株細胞であるRaw264.7において、DEX投与による抗炎症効果を検討した。次に、アラキドン酸カスケードにおいて抗炎症作用を有するとされるEETs(epoxyeicosatrienoic acids)の産生がDEXの投与により増加し、抗炎症作用をもたらすのではないかと仮説した。Raw264.7においてDEXによる抗炎症効果は認めたが、DEXの投与によりEETの産生は低下した。よって、DEXの抗炎症作用はEETを介するのではなく、その産生よりも上位で作用している可能性が示唆された。
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