当初の研究計画にもとづき、妊娠中期の切迫早産妊婦が入院を契機とした目標を設定する過程を経時的に明らかにするために、4つの研究協力施設を得て研究参加者を募集したものの、予定人数に達しなかった。そこで、文献検討の結果をもとに研究計画を見直し、妊娠中期に入院した長期入院が予想される妊婦に対する妊娠継続における目標設定への支援と目標の共有について、助産師がいかなる認識をもち、どのように実践を行っているのかを、助産師の視点から明らかにすることを目的に調査を行うこととした。なお、切迫早産の主たる治療である子宮収縮抑制剤の投与期間が短期化していることを考慮し、助産師が支援する対象者を切迫早産に加え、頸管無力症、前置胎盤、胎児発育不全等の管理のために長期入院が予想される妊婦に拡大した。 平成31年1月~3月、助産師12名を対象に半構造化面接を行い、質的記述的方法により分析を行った。助産師は、妊婦は目標をもつことにより前向きに頑張ることができると考えていた。また、正期産まで妊娠を継続するといった長期的な目標を設定すると、妊婦がその期間の長さに落胆したり、目標を達成できなかった際に自責の念にかられてしまうと考え、最終目標のほかに短期的な目標を設定するよう支援していた。妊婦が目標を設定するにあたり、助産師は胎児の成長発達を念頭において、妊婦の身体的状態や心理社会的状態をアセスメントして目標設定を支援したり、妊娠合併症の状態と胎児の成長発達を重視して目標を提示したりしていた。さらに、妊婦と医療者が目標を共有することが信頼関係の構築につながると認識し、観察やケアをとおして妊婦と目標を共有することや、医療者間で目標を共有することを心がけていた。課題として、妊婦と医療者の考える目標に相違がある際の目標の共有、家族を含めた目標の共有等があげられた。
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