本研究では、向社会行動を支える心理メカニズムを探るため、ウマを対象に、向社会行動を促進すると考えられる共感的反応と他者理解を実験的に検討した。その結果、(1)ウマにはヒトのあくびが伝染し、共感的反応の基盤である情動伝染の萌芽的な現象が確認されること、(2)ウマはヒトの注意状態を理解し、その注意状態に合わせて効果的な餌要求行動を選び、その質を柔軟に変化させること、(3)ウマはヒトの情動に敏感で、特にヒトのネガティブな情動(嫌悪)を見ると、その視線の先を追うのを控えること、(4)ウマは表情と声を合わせてヒトの情動をクロスモーダルに認知すること、が明らかになった。
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