本研究では、木質バイオマスを液化して得られるバイオクルードオイルからの効率的な炭化水素製造に向けて、重質油との混合接触分解における水素移行反応の活用を検討した。結果として、水素移行反応を促進することにより、バイオクルードオイル中に含まれる酸素の大部分を水として脱酸素できることを確かめた。これは、重質油中に含まれる水素が水素移行反応によって含酸素化合物に受け渡されて水を生成したためである。接触分解は水素雰囲気を用いない安価なプロセスだが、非水素雰囲気下にもかかわらず水としての脱酸素ができることで、炭素損失を伴わずに効率的にバイオマスを炭化水素へ転換することが可能になる。
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